(公開日:2020.10.28)(更新日:2024.9.26)
僕は現在36歳で現役の介護福祉士(14年目)、妻も現役介護福祉士、2児のパパです。
今回は【もう飲めないなんて言わせない!服薬拒否の対応5選】に関する内容です。
この記事ではこんな疑問を解決します。
・利用者さんが服薬拒否する場合、飲んでもらうコツは?
・認知症の症状に合わせた服薬方法があれば知りたい!
利用者さんの認知症が進行してくると、薬の服薬を嫌がることはよく見られますよね。薬の服薬ができないと体調が悪化しかねないため、心配になると思います。
なぜ認知症の方が薬の服薬を嫌がるのか?
それは、ご本人なりに理由があることが多かったのです。実はその理由に合わせた対応が大事だったんです!理由が分かれば現場でイライラすることもなくなりますよね♪
ということで今回は、薬の服薬拒否がある場合に考えられる原因や理由、対処のコツを紹介していきます(^^♪
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なぜ認知症の方が薬の服薬を嫌がるのか?
なぜ薬の服薬を拒否してしまうのでしょうか?
結論から言いますと、認知症によって引き起こされる『介護拒否』の可能性があげられます。
認知症により、家族や介護スタッフからのケアに嫌悪感を感じ、食事や入浴、トイレなど生活のあらゆる場面で拒否がみられます。
※症状の現れ方には個人差があります。
薬の服薬を拒否されると「頑固な性格になってしまった、こんな人じゃなかったのに…」と思うかもしれません。そこはグッとこらえて認知症による影響、『病気』であることを理解してあげて下さい。
薬はご本人の健康を守るために必要なものです。服薬拒否の症状が現れたら適切な対応が大切です。『本人が嫌がるからしょうがないか』と放置していると病状が悪化し、深刻な事態に陥る可能性があります。十分に注意して下さい!
そしてここからは認知症により具体的にどうような性質が現れてしまうのか5つ紹介していきます。
①薬の必要性が理解できない
認知機能の低下により、「なぜ自分が薬を飲んでいるのか」が分からなくなる場合がよくあります。そもそも「薬ってなんだっけ?」と、それさえ理解できず「分からないものを口に入れたくない」と拒否してしまいます。
自身が病気であること、病気を治すために薬が必要であるという、認識する能力が低下してくると、服薬拒否が起こりやすくなります。
②体調が悪い
「体調が悪い」ということが原因で薬を拒否する場合も多くあります。ご本人に「この薬を飲むと具合が悪くなる」などのネガティブなイメージがある場合に起こります。
認知症が進行すると薬と体調との因果関係をまわりの人にうまく説明することができず、「拒否」という形をとって意思表示するようになります。
健康な人であれば、「いつからどのように体調が悪いのか」を順序立てて説明できますが、認知症が進行するとそれが難しくなるんです。服薬拒否がある場合は体調不良が原因であることも頭に入れておきましょう!
③薬が飲みこみづらい
高齢になると、食べ物や水分などを飲み込む力が徐々に低下していきます。嚥下(えんげ)が衰えると薬をうまく飲み込むこともできなくなり、服薬拒否につながることがあります。
大きめの錠剤だからのめない訳ではなく、人によっては小さな錠剤や粉末タイプの薬も飲み込みづらさを感じる場合があるので注意して下さい。
④不信感・病人扱いされたくない
認知症が進行すると、被害妄想が現れることがあります。その影響でご家族や介護スタッフといったお世話をする人に不信感を抱く場合もあります。服薬の際に、薬のことを「毒なんじゃないか?」と疑ったり「知らない人だから信用できない」と思ってしまい服薬を拒否します。
また、「自分の弱い部分をみせたくない」「病人あつかいされたくない」という気持ちから服薬を嫌がることもあります。若いころから「薬を飲むことは身体に悪い!」などの否定的な考えを持っている方の場合、服薬拒否が起こりやすいです。
服薬拒否は認知機能の低下によるもの多くありますが、ご本人のプライドや感情が影響することもあると理解しておきましょう!
⑤タイミングが悪い
単純に服薬のタイミングが悪い場合があります。
- ちょうど機嫌が悪かった
- 食事中に服薬をすすめられ、嫌気がさした
- 食事が終わり、「ホッと一息つこうかな」と思ったタイミングですぐに服薬をすすめられた
- 認知症(特にレビー小体型認知症)で自律神経の乱れがある場合、食後に血圧が降下する。そのため、ぼんやりしたり、急に眠気に襲われて服薬どころではない
などなど。服薬介助の際、自分の第一声に対する利用者さんの反応や表情を見たり、こちらの対応を改めることも必要かもしれませんね。服薬をすすめるスタッフの表情が硬いと、利用者さんを緊張させてしまう場合もありますのでこちらも合わせて注意するようにして下さい!
また、服薬時間は守りたいものですが、医師に相談の上、時間やタイミングをズラすことも選択肢の一つです。
もう飲めないなんて言わせない!服薬拒否の対応5選
服薬を拒否されたらどのように対応すれば良いのか、対応を5つご紹介していきます。
①無理強いせず、本人のペースに合わせる
心がけることは、「とにかく無理強いはしない」ことです。相手の意思を尊重することは介護の基本でもありますよね。
薬は健康維持のために必要なもので、「ご本人のためにムリにでも飲ませないと!」となる気持ちも分かります。ですが、先述の通りご本人にとって薬は「よくわからないもの」「体調が悪くなるもの」である可能性があります。
自身で納得していないものをムリに飲まされるのはすごくストレスになりますし、無理強いしてしまうと介護者に対してネガティブなイメージを持ってしまうこともありますよね…
服薬拒否がみられたら、まずはご本人のその気持ちを受け止めましょう!ご本人にとってタイミングが悪いだけであれば、少し時間を置いたら飲んでもらえる場合も多くあります。まずはご本人のペースに合わせることをおすすめします!
②丁寧な声かけ・説明をする
服薬拒否に限らずですが、介護拒否がみられたら、丁寧な声かけ・説明を心がけるようにしましょう。
認知機能が低下により、自分の置かれている状況が分からない場合、何の説明もなくただ薬を飲むように言われたら不安になりますよね。
認知症の方でも理解しやすいような言葉選びをするようにしましょう。
例えば、
「これはお医者さんが○○さんのために出してくれたお腹のお薬ですよ♪」
「○○さんがこれからも元気でいるために必要なお薬ですよ♪」
など、簡単で分かりやすい言葉を使って声かけをしましょう。そうすることにより、薬に対する拒否も弱まります。
③体調変化をチェックする
服薬拒否は体調の悪さが影響している可能性もあります。具合が悪くて何も口に入れたくなかったとしても、認知症の方はうまく説明できません。薬の必要性に理解を示してくれたとしても、体調不良で体が受けつけない場合があります。
体調に何らかの異変がありそうな場合は、看護師や医師に相談して判断を仰ぎましょう。薬の種類や服用回数を減らすなどの対応をしてくれるかもしれません。
④薬の形状を変える
薬の形態や味が原因で薬をうまく飲み込めない場合、薬の形状を変えると解消することもあります。
薬には錠剤タイプ、液体タイプ、ゼリータイプ、顆粒タイプなどがあり、薬の種類によっては形状を変えられるものもあります。薬の形態や味が原因と思われる場合は医師や薬剤師に服用方法を相談しましょう。
⑤人を代える
色々と試しても服薬拒否が改善されない時、人を代えてみるのもオススメです。在宅の場合だと、身内の言うことをなかなか聞いてくれない方でも、他人の指示なら素直に従う場合があります。逆もまたしかりですが、人を代えると意外とすんなりと受け入れて飲んでもらえることがあります。
さいごに……
服薬拒否は、一見するとただのわがままに思えてしまうかもしれません。
認知症による薬の服薬拒否の背景には、ご本人なりの理由があるということをしっかり理解して下さい。理解できていないと、服薬に時間がかかりイライラしてしまったり、心ない言葉を浴びせてしまいご本人の自尊心を傷付けてしまう可能性があります。
そして、薬の服薬をムリヤリさせようとして、不信感が強まり服薬だけでなくケアすること自体を拒否されてしまう可能性もあります。
服薬拒否がみられたら、この記事で紹介した方法を活かし適切に対応して下さい。もしも対応が難しい場合は自身で判断せず、医師や薬剤師に相談するようにして下さいね♪
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