(公開日:2020.10.28)(更新日:2024.9.26)
僕は現在36歳で現役の介護福祉士(14年目)、妻も現役介護福祉士、2児のパパです。
今回は【介護現場の5S(活動)】に関する内容です。
介護職の方なら一度は聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?
5S(活動)って知ってはいるけど、
・具体的に何をするの?
・やっても無駄じゃない?
と思っているあなたに、ぜひ読んで頂きたい内容になっています。
人手不足で現場をまわすことすら精一杯。
正直、新たに仕事を増やされたら困る!!そう思ってる人もいるかもしれません。
しかし、そのような状況にこそ5S活動を徹底することで見えてくることがあると僕自身は感じています。
たとえば、スタッフで共有する書類が見当たらず、イライラ&探すことで時間を無駄にし、ケアに影響がでる。
また、スタッフルームなどが乱雑な環境にあると、それが当たり前になり誰も片付けなくなることで物品の紛失や破損に繋がる。
こういった事態を防ぐため、職場をハードとソフトの両面から見直し、
より一層働きやすい環境を構築していきませんか?
Twitter 、インスタ でも介護について発信しているのでみて下さいね!
5S(活動)とは?
5S(活動)を単なる掃除だと認識しているかたも多いのではないでしょうか?
それは違います。
5S(活動)とは、仕事に必要なものだけを残し仕事がしやすい環境になるよう、
整理・整頓し、職場の抱える課題を解決するための活動です。
組織全体で取り組むことが重要であり、
業務(作業)効率の向上、ミスや事故の防止に繋がります。
それでは5S(活動)のそれぞれの意味をみていきましょう!
①整理
いるもの、いらないものに分別しいらないものを処分すること
②整頓
いるものを使いやすい場所にきちんと置くこと(誰でもすぐに取り出せるようにすること)
③清掃
身のまわりのものや職場をきれいに掃除をし、いつでも使えるようにすること
④清潔
整理・整頓・清掃を維持し、誰が見てもキレイで分かりやすい状態に保ち、キレイな状態を保とうという気持ちにさせること
⑤躾
職場のルールや規律を守り、習慣づけること(身分や立場関係なく、組織的に決めたことを当たり前にみんなが守れる風土であること)
職場のなかで、日常的に起きていることに目を向けていくと改善点がみえてきます。
例)
★利用者の情報や資料がどこにあるか分からない
⇨資料を探す
⇨資料が見つからずイライラする
⇨古い情報のまま仕事をする
⇨事故に繋がる
Answer. 資料の保管場所を決める・一か所にまとめる
このようなことを防ぐためにも5S(活動)は必要です。
5S(活動)が効果的な理由
5S(活動)はやっても無駄じゃない?
と思っているかた、多いのではないでしょうか?
いえ、
無駄どころかメリットしかないです!
日本の主に製造業では『5S』という概念は当たり前とされています。5S活動にきちんと取り組めているかどうかで、会社の評価にも繋がるほどです。
「5Sのできていない会社とは取引しない」と5Sを重要視する企業もあるぐらいです。
実はそれぐらい5Sは重要とされていて、多くのメリットがあるため、現在は製造業以外の業種でも5Sを取り入れ、チャレンジする会社が増えています。
それだけ5Sは意味のある活動だということです。
介護現場の5S(活動)の効果、
それは…
「心もキレイにする」ということ。
5Sは3つの心を育てます。
・大切にする『心』
働くスタッフに物を大切にするという心が育つ。
・気遣う『心』
仲間を気づかう心が育ち、助け合いの精神が身につく。
・きっちりとする『心』
人間関係だけでなく仕事もきっちりと行い、何ごとも中途半端にしない心が根付きます。
さらに5Sは頭の中を整理することができるという効果があります。作業場所や引き出しの中の状態は、人間の頭の中の状態と同じだと言われています。
いるもの、いらないもの、どう並べると作業がしやすいか、作業に必要なもの、使う順番、頻度など、考えることにより頭の中を整理する訓練になります。
そして、頭の中が整理されていれば作業をスムーズに行うことができます。
介護現場の5S(活動)のメリット
そして、そこで気になるのが5S(活動)のメリットだと思います。
詳しくみていきましょう!
①利用者に時間をかけれるようになる
作業のしやすい職場環境をつくることにより、作業効率が上がる。作業の無駄が無くなるため、利用者に時間をかけれるようになる。
②組織力・チーム力が高まる
整理基準を明確にして、今の仕事の価値を見直すことで、仕事の新たな価値を探求するようになる。標準化を進めると、組織力・チーム力を高めるという効果を発揮します。
必要なものを判断する基準、使いやすい整頓の基準を定め、共有することにより作業がうまくかみ合い、スムーズに作業が行えるようになります。
③働く人の心もキレイにする
『割れ窓理論』という心理があり、
誰かが窓を割ってそのままになっている場所は、
ここは窓を割ってもいいんだ?
と思われてしまい、他の窓も割られてしまう。
逆にキレイに整頓されている場所はみんなキレイに使う。
そして心もキレイになるという心理です。
5Sを行うことにより、心もキレイになるということは共に働く仲間への思いやりが生まれるということです。
例えば、あなたが消毒液を使用後に残量が少なかった場合は、次に使う人の事まで考えて補充しますよね?
使いっぱなしの道具を所定の位置に戻して、誰もが手に取りやすい状態に整理整頓しますよね?
その気持ちが5Sによって、職員全体に浸透すればとても気持ちの良い職場になると思いませんか?
5S(活動)のデメリットは?
本来、5S(活動)をしっかりと理解さえしていればデメリットは無いといえます。
しかし、5S(活動)は表面的にしか理解せずに取り組んでしまうと、デメリットになってしまうことが主に2点あります。
①業務を徹底的に効率化することが目的であるのに「職場をキレイにする」という表面的な部分だけに囚われ、肝心の効率が悪くなってしまう。
②トップが社員に強制的にやらせている状態にしてしまうと、ただやらされている状態に陥り、「なぜこんなことをさせられているのか?」
という疑問・不満がいつまで経っても拭えず、自主性が損なわれて継続できなくなってしまう。
介護現場の5S(活動)の進め方は?
5Sを進める前に……
上記でもお話した部分もありますが、職場で5Sを行う上で注意点を3点お話したいと思います。
・5Sの意味をスタッフ全員がきちんと理解していること。
・トップが強制的にやらせないこと。
・ルールは全員で決めること。
5Sは、表面上だけの理解で取り組むと絶対うまくいきません。
事前に、5Sとは何なのか・なぜやるのか・どのようにやるのか話合い、トップが強制的にやらせず、部下に考えさせ自主性をもって取り組んでもらうことが大切です。
5Sの進め方
いるもの・いらないもの・いるかどうか分からないものに分ける。
いるかどうか分からないものには、いつまで取っておくか期限を決め、紙に日付け・期限を貼って置いておく。
このように「見える化」することが大切で、期限がきたら改めているかどうか話し合い、捨てる。
また、日頃から使用しているものでも、「どの状態になったら捨てる」のか基準を設けていくことが大切です。
状態が悪くなったら捨てるのか、期限を決め1ヶ月したら捨てるのか一つひとつにルールを定めます。
このように管理していくことで、不用品を減らすことができます。
不要なものが無くなったら、
「誰でもすぐカンタンに取り出せる状態にすること。」
定位置を決め、使用頻度・使いやすい置きかたを考慮して、
誰もが使いやすいような配置にしましょう。
定位置が決まったら、何をどこに置いているかラベルなどの標示をしましょう。ものと場所が対になるように表示ラベルを貼ることが重要です。
新入社員が誰に聞かなくても分かるように戻せるようにできるのが理想です。
次のステップは掃除ですが、ただ掃除をすればよいだけではなく、それを維持することが大切で、仕組化するとよいと言われています。
「キレイの基準を決める」
スタッフ全員に「同じ基準の綺麗な状態」を認識してもらいましょう。
ゴミくずが落ちていない状態なのか、ホコリがない状態なのか、髪の毛一本も落ちていないピカピカの状態なのか
場所ごとにゴールを決めます。写真に撮っておくのも良いでしょう。
「掃除のルールを決める」
いつ・誰が・どのように掃除をするのか決め、表にしましょう。
各場所の担当者を決め、何曜日の何時にどこを誰が掃除をするか書いておくと取り組みやすいです。
「継続できる仕組みをつくる(見える化)」
ルールを決めただけでは継続は難しいです。
そこで継続できる仕組みをつくる(見える化)をすることが重要です。
チェックシートを使い、「やったら〇・やっていないなら×」と見える化し、
出来ていなければ「なぜできなかったのか・どうやったらできるのか」改善していきましょう。
繰り返しの説明になりますが、5Sは表面上だけの理解では単なるお掃除になってしまいます。
上記のように仕組化することで無駄が無くなり、快適・効率的に業務が行えます。
そして日頃から5Sを行っていれば大掃除などしなくてよくなります。
理解のない社員もいるかもしれません、しかし5Sを行っていれば成果が見え、その良さが伝わり、少しずつ伝染していきますので
まずは継続できるよう取り組んでいきましょう!
さいごに……
他の業種でもそうかもしれませんが、介護現場では小さなミスが大きな事故につながる事が多い職場です。
そのような職場では、大きな事故が起きないために多くの人が作業を行うための細かいルールを定めていくことが求められます。
利用者によって内服薬や使用する用具は違います。
薬の誤薬や、業務の忙しさにより十分な引継ぎができていない場合の連絡ミスは、
よく使う用具がいつもの場所になかった
必要なメモが他の書類に紛れて見つからなかった
などの、『整理』『整頓』『清掃』で防げた事故である可能性が高いです。
この状態が続いてしまうと、いずれ命に関わる事故になりかねません。
小さなミスや事故を未然に防ぐためにも5Sを導入し、そのルールを沿って行動していくことが大切です。
Twitter 、インスタ でも介護について発信しているのでみて下さいね!