(公開日:2020.10.28)(更新日:2024.9.26)
僕は現在36歳で現役の介護福祉士(14年目)、妻も現役介護福祉士、2児のパパです。
今回は【【介護】アンガーマネジメント 怒りのメカニズムを知ろう!】についての内容です。
・利用者さんが何度も同じことを聞いてくるからイライラする…
・スタッフの無責任な仕事ぶりにイライラする…
・自分とは価値観の違うスタッフからの指摘にイライラする…
同じ状況になっても、イライラする人もいれば、そんなに気にならない人もいますよね。また、人によって、物事の受け止め方が違ったり、感情が揺さぶられやすかったりもすると思います。
そのままにしておくと、利用者さんやスタッフにイライラをぶつけてしまい、信頼を失ってしまう・仕事へのモチベーションの低下に繋がる可能性もあります。
なぜそのようなことが起こってしまうのか…
それは…
無意識に相手に期待してしまうからです。
そこで今回は、怒りのメカニズムや対策をお話したいと思います。ぜひご覧ください(^^♪
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アンガーマネジメント 怒りのメカニズムを知ろう!
怒りというのは、誰かに「何かをされた」「言われた」「何かの出来事」ではなく、自分の中に引き金があります。自分にとって「正しいと思っていること」「心地よいこと」「期待していること」=『自分の価値観』と違う現実に対峙した時に生じるのが怒りです。
この価値観を『コアビリーフ』といいます。僕たちを怒らせる正体はこれだったのです。
価値観は生まれた時代・過去の体験・環境で違い、また場面や状況に応じて多様な価値観があります。何かのきっかけで自分の価値観に相反する出来事に遭遇した時、咄嗟に自分の価値観に照らし合わせ、怒るか怒らないかを判断しているんです。
そして、「これは許せない!」と思った時に怒りの感情が湧きあがります。
嫌われる勇気という書籍では、『怒りとは出し入れ可能な道具』と表現しており、怒りは瞬時に引っ込めることもできるし、再び持ち出すこともできると説明しています。
【こちらの例文をご覧ください】
飲食店にて、ウエイターが手を滑らせてお客さんにコーヒーをぶちまけてしまい「すみません」と言った。
お客さんは怒りに任せて「この野郎!」と言いかけたところで、ウエイターの顔が怖く体格が良いことに気付き、「大丈夫ですよ♪」と咄嗟に怒りの感情を引っ込めた。
価値観というものは普段はあまり意識しないのではないでしょうか。怒りの感情を抑えきれなくなった時は、自分の価値観を見つめるチャンスだと思いましょう。怒ってしまった出来事について冷静にじっくり向き合うことで、自分の価値観が見えてきます。
また、「○○が常識なのに」「普通は○○」といった言葉にすることで見えてくる、自分にとっての常識や普通も、価値観になります。こうした自分にとっての常識や普通が相手にとっては違っている場合があり、そのズレが怒りの引き金になります。
価値観は人それぞれで統一できないけど、理解し受け止めることはできる!
アンガーマネジメント 怒りを抑える方法
カッとなった勢いで言い過ぎてしまった…
怒りを抑えることができなかった…
怒りっぽいのは生まれ持っての性格で、変えることはできないと諦めている人もいるかもしれません。
そんなことはありません。アンガーマネジメントは練習すれば誰でも身につけることができます。繰り返し、取り組んでいくうちに「気づいたら前よりラクに対応ができた」という感覚をつかめます。
急にできるようなものではありませんので、すぐに身に付けなくて大丈夫です。「今日も出来なかった」とストレスを感じてしまうと、余計に出来なくなってしまいます。焦らずゆっくりと身に付けていきましょう!
カチンときたら、「最初の6秒をやり過ごす」と怒りのピークは過ぎ、クールダウンすると言われています。怒りがおさまる訳ではありませんが、この6秒さえ我慢できれば、反射的に言ってはいけないことを言わずにやり過ごすことができます。
また、怒りの引き金は、自分の価値観だとお話しました。ある出来事に怒りを感じた時、視点を変えてみることをオススメします。
例えば、
①他のスタッフの言葉遣いにイライラしてしまう。
⇨「利用者さんの尊厳を守りたい」と思っているから。
②無責任な仕事ぶりに腹が立つ。
⇨「チームワークを大事にしたい」と思っているから。
このように、自分が大事にしている価値観がみえてきます。冷静にじっくり考えることで具体的に認識できるでしょう。そして利用者さんの安全、同僚への配慮など、あなたが大事にしている価値観に土足で踏み込んできた場合、そのときは怒れば良いのです。
しかし、怒ることは怒鳴り散らしたり、人を攻撃したりすることではありません。これは嫌だ、やめてほしい、次からはこうしてほしい、と自分の感情や要望を伝えることです。必要なときには上手に怒れるように練習するのです。
先ほどの視点を変える手法は『リフレーミング』といいます。ここで詳しく説明していきますね。
リフレーミング
【リフレーミングとは?】
ある出来事や物事を今と違った視点でみて、気分や感情を変えること。
✖:失敗した自分はダメだ…
〇:いい経験をした!
✖:あなたの○○してしまうところがイヤなんだ!
〇:僕は○○しているのを見るのがイヤなんだ!
普段から物事をプラスにとらえる意識をするようにすることが大切です。
また、『僕』を主語にすることで自己主張もできて、相手を傷つけにくくなります。
始めからこの法則を使いこなすことはなかなか難しいことだと思いますが、このような訓練から始められると良いです。
- 「物事をプラスにとらえるようにする」と意識付けをする。(紙に書く・言葉にする・頭の中でつぶやく)
- マイナスな感情がはたらいた時に、「今マイナスな感情になった。」と言葉にする・紙に書く・頭の中でつぶやく。
- マイナスになった感情をプラスに変換する。
これを繰り返していくと、自然とできるようになります。(僕もまだまだ未熟ですが…)
僕は今でこそ自然とできるようになってきましたが、言うのは簡単でも実行するのが難しかったです。始めは職場に着くと「プラス、プラス(プラスの感情)」と頭の中でつぶやいていました。(笑)
そして職場で利用者さんや、スタッフにイライラすることがあっても、
「この人のおかげでメンタルが強くなるな!」
「次のステージに行くためのボスだ!」
と、視点を変えたら本当にそう思えるようになりました。
「マイナスな感情」を言葉にする・紙に書き、視覚化・言語化することで、いま自分は「マイナスな感情」になっていると自覚でき、冷静になれます。(イライラがおさまる)
さいごに……
いかがでしたか?
僕は同じ職場で働くスタッフからよく「ひろとさんて、利用者さんに何でそんなに優しくできるんですか?イライラすることないんですか?」聞かれることがあります。僕なりの見解をお話すると、一つはに独学ながらも心理学について学び、粗削りでも一つ一つ実践し、昇華するよう心がけてきたことが挙げられます。
また二つ目は、利用者さんを知る努力を怠らなかったからだと感じています。利用者さんの「今」だけの姿を見ていると、介護士として大変なこともありますし時には理不尽に感じられる出来事もあって、優しくなれない瞬間があるかもしれません。ですが、「今」の利用者さんの背景にはどんな歴史があって、この方はどんな人生を歩んでこられたかを改めて確認すると、その利用者さんへの敬意が自然と溢れてきます。
身上書だけではわからないこともありますが、一体どのくらいのスタッフが利用者さんを深く理解するために、真剣にその書類に目を通し、限られた情報を一つも無駄にしないという意識を持っているでしょうか?暗記をしろというわけではなく、ふとした時に読み返す機会があっても良いのではないかと思っています。
再び怒りの引き金という視点に戻ると、利用者さんが不快と感じても、その引き金となった介護への期待値を明確に説明するのは難しいことです。
これは、新入スタッフを教育するスタッフにも言えることです。ベテランのスタッフは、介助の際に苦痛や負担の少ない方法を経験的に分かっていて、意識しなくとも自然に身体が動くのです。新人スタッフは教えられた通りにやってもぎこちなく、ベテランは自分にとって「当たり前」のことができないことにイライラしてしまいます。
しかし、自分では当たり前にやっているちょっとしたコツや経験から得られた技術を伝えられるかどうかは教育する側にかかってきます。教えたら始めからすぐに自分と同じでレベルでできると思わず、基準や期待値はグーンと低く設定しておくことをオススメします。決して相手を責めないように良好な関係を築くようにして下さい。
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