(公開日:2020.10.28)(更新日:2024.9.26)
僕は現在36歳で現役の介護福祉士(14年目)、妻も現役介護福祉士、2児のパパです。
今回は【ユニット型・従来型の働き方やメリット・デメリット】に関する内容です。
介護施設で働くことを考えた場合、どちらの形態の施設を選ぶかによって働き方が大きく異なるので重要なポイントです。
介護施設で働きたい人の中には、
・ユニットって何?従来型って?
・働き方に違いはあるの?
・自分に合った職場ってどこだろう…
と疑問に感じている人もいるかと思います。
そんなあなたへ、ユニット型・従来型の働き方やメリット・デメリットの具体的なポイントについてまとめてみました。
従来型でしか働いたことがなくてユニット型に興味がある方や、ユニット型の働き方がしっくりきていないと思っている方に、一度互いのメリットとデメリットを比較してもらい、より自分に合った職場を選択するお手伝いができればと思っています。
ぜひご覧ください♪
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ユニット型・従来型とは?
(※画像出典:「介護のお仕事研究所」より)
ユニット型は、10名前後の少人数単位でケアをするスタイルです。
利用者は一人ひとりに個室(準個室)が用意されています。
個室を出るとすぐに「共同生活室」と呼ばれるリビングスペースに行くことができます。
(※画像出典:「介護のお仕事研究所」より)
それに対して、従来型は居室に特徴があります。
基本的に2~4人ほどの多床室で相部屋になるつくりになっています。
それ以外にも、食堂や浴室、リビングなどの共有部分も大人数で利用することになります。
始めにユニット型と従来型は大きな違いは、ユニット型はすべて個室であることに対し、従来型は個室と多床室で構成されていると説明しましたが、実はほかにも大きな違いがあるのです。
ユニット型は各ユニットごとに居室に隣接した共有スペースがあります。
それに対して、従来型は居室から廊下続きに独立した食堂やリビングがあります。
それぞれにメリット・デメリットはあります。詳しくみていきたいと思います。
ユニット型のメリットとは?
ユニット型ならではのメリットってあるの?
と思っている方に、ユニット型の施設の4つのメリットを紹介します。
①利用者に個別ケアができる
これはユニット型施設の最大のメリットではないでしょうか?
従来型施設は、1フロアに40~60人ほど利用者さんがいる場合が多いので、利用者一人ひとりに個別で時間を割くことは難しいです。
また、多くの利用者さんがいるということは、それだけ覚えなくてはいけないことも増えます。
例えばですが、100人の利用者さんについて1個ずつの情報を把握したら頭の中には100個の情報が入ります。
一方で10人の利用者さんについて10個の情報を把握しても頭の中には100個の情報が入ります。同じ100個の情報でも、利用者さんをより深く理解し、ケアに活かせるのはどちらか・・・。
考えるまでもありませんよね。
僕達は利用者さんのより多くの情報を把握し共有することで、ニーズにそった個別ケアを提供することができるのです。
②プライバシーが守られ、ご家族も訪問しやすい
完全個室のため、TVやイビキなどの騒音を気にせずに生活することができます。
また、ご家族の訪問時も他の利用者に気を使わず会話が出来ますし、あまり聞かれたくない内容の話もゆっくり話すことができます。
③感染症対策がしやすい
インフルエンザ・ノロウィルスが流行する秋・冬は介護士にとって最もつらい季節と言えます…。
僕自身、またこの季節がきてしまったか…と毎年思ってしまうほどです。
ただ、個室であるユニット型の施設では感染症が治るまで、他の方へ接触しないように促すことができます。そのため他の方へ感染させてしまうリスクが低くなります。
④利用者がアクティブになる、利用者同士の交流が多くなる
どうしてユニット型だと、利用者がアクティブになるの?
と思いますよね?
まずはこちらをご覧ください。
こちらは「(財)医療経済研究機構」の文献の一部抜粋です。
ある特別養護老人ホームの従来型(6人部屋)を個室のユニット型に建て替えをした際、利用者にどのような変化があったのか調べました。
その結果、思いのほかわかりやすい変化が見られました。以下の表をご覧ください。
【特別養護老人ホーム、建て替え前・後の入居者・設備の変化】
ベッド上の滞在率 | 67.7%→40.2% |
---|---|
リビングの滞在率 | 16.7%→42.8% |
日中に占める睡眠時間 | 日中に占める食事時間 7.6%→11.3% |
1人あたり食事量 | 1463Kcal→1580Kcal |
ポータブルトイレ設置台数 | 29台→14台 |
(※画像出典:「(財)医療経済研究機構」より)
利用者がベッドにいる時間、日中の睡眠時間は減っていますが、リビングに過ごされる時間は圧倒的に増えているのが分かりますよね。
そして日中に占める食事時間が長くなったことにより、利用者それぞれの食事量が増えたことも分かります。
また、ポータブルトイレの設置台数が29台から14台に減っているかと思います。
それは利用者が共有トイレに行く回数が増えたことを意味しており、ユニット型では利用者がアクティブになっていることが顕著にあらわれています。
【特別養護老人ホームの建て替えによる入居者の変化】
居室の滞在率 | 39.2%→18.0% |
---|---|
廊下の滞在率 | 9.2%→4.9% |
リビングの滞在率 | 9.4%→37.5% |
直接介助の時間 | 46.2%→33.1% |
余暇・交流の時間 | 20.3%→24.1% |
(※画像出典:「(財)医療経済研究機構」より)
こちらの調査も、顕著に変化があらわれました。
居室と廊下の滞在率が減少し、それに合わせてリビングでの滞在率が大幅に増えたのが分かると思います。
それによりスタッフが介助する時間が減少し、その代わりに利用者の余暇や交流の時間が増えたということは、多忙と言われる介護スタッフにとってはありがたい変化です。
この結果から分かったことは、
ユニット型は、従来型と比べると利用者同士の交流が活性化し、それにより介護スタッフの介助の時間の減少、スタッフの負担が減ることが分かります。
ユニット型は、利用者の自立を促すにはもってこいの環境であると言える。
ユニット型のデメリットとは?
ユニット型っていいことしかなくない?
と思っている方いますよね?
正直に言います、残念ながらユニット型のデメリットが5つあります…
1つずつ紹介していきます。
①利用者を少人数の介護スタッフでケアをする
利用者が少ないため、寄り添った個別ケアが可能です。
ただ、スタッフも少人数のため、スタッフ1人の判断で対応しなければならない機会が従来型より多いとも言えます。
夜勤を自分1人で担当する可能性が高いということも頭に入れておいて下さいね!
②機能していないと従来型と変わらない
ユニットリーダー以上の役職者がユニットケアの本質を理解していないと、結局は時間で生活リズムを構成しがちになります。
これでは少人数に区切った従来型の施設のケアと変わらなくなってしまいます。
「ユニット型」・「ユニットケア」の意味を理解している人がいないと形だけのユニット型施設になってしまう……。
③社員同士の情報の伝達・共有が難しい
利用者の人数が少ないということは、ケアにあたるスタッフも少ないので1ユニットに割り振られる正社員は2~3人という事もあります。
その場合、正社員同士が日勤帯の勤務で被ることが少なく、共有したい情報を直接会って伝えられないことが多くなります。
申し送りノートやパソコンのメールなど、間接的に伝えるしかなく相手がどの程度理解をしているかが分かりづらいことや、レスポンスに時間が掛かることもデメリットであると言えます。
パートさん・派遣さんの協力体制がしっかりしていないと情報・業務がうまくまわらない。信頼関係をしっかりと築こう。
④ひとりが苦手な人には、孤独感を感じてしまう…かもしれない
ユニット型は、ひとりが苦手の人は淋しい思いをすることもあるかもしれません。
また、逆に個室に籠りがちになる人もいて、コミュニケーションの機会が減ってしまうのは難点です。
介護スタッフが利用者それぞれとの関わり方を適切にしっかりと考えていかなければ、ADLの低下や認知症の進行が顕著にあらわれます。
⑤設備が充実していることで居住費や光熱費が割高になる
もちろん施設によって利用料は異なりますが、個室にトイレや洗面台が完備されていることも多いので月額の利用料が従来型の施設よりも約4~5万円ほど高くなってしまうことが多いです。
従来型メリットとは?
ユニット型にメリットありすぎて、もぅユニット型一択なんですけど!
って方もいると思います。
しかし、従来型にも納得できるようなメリットがしっかりとあります。
従来型のメリットについて5つ紹介していきます。
①多くの利用者をまとめて見守りができる
なんと言っても介護施設では見守りがとにかく大変な業務なんです。
ただ見ているだけでしょ?
と思うかもしれませんが、高齢者はちょっとした転倒でも骨折してしまうことがあるんです!!
ですので見守りは介護でもっとも大事な仕事と言っても過言ではないのです。
話を戻しますが、従来型では日中起きている利用者は、基本的に共有スペース(食堂やリビング)にまとまって過ごされることが多いため見守りがしやすいです。
スタッフの人数が多いと「自分が見ていなくても誰かが見守りしているだろう」という気持ちになり事故につながる。常に自分ひとりで見守りをしている、という意識を持とう!!
②大勢の利用者を大勢のスタッフでケアができる
従来型は長年運営してきた施設が多いため、ノウハウが豊富で決まりごとがしっかりとしています。
新人スタッフでも、多くの先輩たちのケアを間近で見て学べる機会が多くなります。
介護スタッフの配置する人数が減ってしまう夜勤でも、複数人で対応できるため安心感があります。
③新人スタッフの指導がしやすい
多くのスタッフがいる従来型の施設では、ユニット型よりもしっかりと付いて指導ができます。
また、新人さん自身が困った時に多くのスタッフがいることにより、その都度指導がしてもらいやすく、多種多様な介護感や介護技術を学ぶことができます。
多くの中からメンターになる人を決められるというのは従来型ならでは(^_-)-☆
④介護技術が身につくスピードが速い
「ユニット型と比べて従来型は利用者が多い」と説明したと思います。
従来型では数多くの要支援者・要介護者との関わりがあり、それぞれが違う介助方法であるため、多くのニーズに応える必要があります。
介護の論理的思考が鍛えられ、介護技術が身につくスピードが速くなると言えます。
多種多様なケアのやりかたをみて、自分に合ったものを選ぼう!
⑤入居費が抑えられる
従来型の施設は建物の構造・設備に関係なく、グループ分けをして介護サービスを行うため、施設のリフォームなどをする必要がありません。
ですので、ユニット型の施設に比べて入居費用を抑えられることが傾向にあります。
従来型デメリットとは?
従来型の魅力もたくさん知って、従来型にも心がゆらいできたのではないでしょうか(^^?
しかし、従来型にもデメリットがあります。
4つ紹介していきます。
①スタッフ主体のケアになりやすい
ユニット型施設の最大のメリットは「利用者に個別ケア」ができることだと説明したと思います。
逆に、従来型施設では「スタッフ主体のケア」になりやすいということが最大のデメリットと言えます。
利用者の人数が多いと、どうしても時間を意識しなければ全員に同様のケアが提供できません。個を大切にしたくても、スタッフがある程度線引きをし集団生活を成り立たせる必要が出てきてしまいます。
従来型で個別ケアを行うのは難しいが、スタッフの意識次第ではそれに近づけることはできる!
②利用者に目が行き届かない
大勢のスタッフで見守りを行うと言っても、相手も大勢です。
それぞれの認知症の症状が違い、ひたすらに徘徊している方・歩けないのに歩こうとする方など様々な行動がみられるため、いくらスタッフが多くても全員を見守ることは容易ではありません。
③利用者の情報の共有・伝達に時間がかかる
利用者の人数が多いということは、その分把握する情報は多くなります。
すべての情報を把握・共有するにはスタッフが多いため、全員に伝達するまでに多くの時間を要します。
また、全スタッフが同じレベルで解釈出来ているかというと難しい場合があり、それを確認、修正するにもさらに時間や手間が掛かります。
スタッフ間の日頃のコミュニケーションがカギを握る!
④感染対策が難しい
ユニット型のメリットでは「感染対策がしやすい」と説明しました。
しかし従来型では多床室(2~6人ほど)の相部屋になっているため、一人が空気感染・飛沫感染してしまう感染症になってしまった場合、同室者のかたも感染してしまうリスクがあります。
それにより感染症になってしまったかたの対応だけで疲弊しきってしまう施設も多いのではないでしょうか…
感染対策は難しいですが、もちろん施設側は感染対策に全力は尽くしています。
介護士が出来る感染対策には限りがあることはご了承下さい。
さいごに……
今回の記事を読んで、いま自分の働く環境、今後働きたい環境をより具体的にイメージできたでしょうか?
ユニット型にはユニット型の良いところがあり、また従来型も高齢者が増え続け介護職の担い手不足の中、在宅介護が困難な高齢者の受け皿として懸命にその役割を果たしています。
現在の日本はどちらの施設も欠かすことができないのが現状です。自分はどちらのタイプの介護施設で働くのが合うのか、一度立ち止まって考えてみませんか?
僕たち夫婦も互いのタイミングで、ユニット型と従来型の両方の施設の形態を経験してきたからこそ、どちらにも魅力やそれぞれの役割があると理解することができました。
介護職の良いところは、自分の介護観やライフスタイルの変化に伴っていつでも次なる環境に飛び込むことができることだと思っています。
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